御家流香三十組包形(おいえりゅうこうさんじゅっくみつつみがた)

飯田政宣、小野朝登、伊與田勝由、伊藤辰芳 一卷 一册 写本

 

惣包小包雛形 

古十組惣包小包

一 表絹地金散し極彩色 裏布目金なり

小包表金 裏銀の重ねなり

中古十組

一 表銀散し絹地彩色絵なり 裏無地金なり

小包表銀 裏紅なり

新十組

一 表絹地無地銀彩色絵なり 裏無地銀なり

小包白紙裏重ね紅なり

一 極秘連理香惣包小包 異る書に委し ここに略す

一 諸組香其品に寄て惣包小包模様其の勘在るべし。品多ければ残らざるなり

一 稽古惣包小包とも定れる法なければ工夫衆撰べし

寸法等は本式に順うべし

一 当流三十組模様地に○て絵組雛形別に在るなり

 

惣包古十組

一 十*柱香    紫宸殿の絵

一 花月香     桜月の絵

一 宇治山香    宇治山川景色

一 小鳥香     小鳥 色々

一 郭公香     雨に郭公の絵

一 小草香     小草 色々

一 系図香     系図散し

一 源平香     白赤旗の絵

一 焚合十*柱香  鴛鴦雌雄絵

一 鳥合香     短冊三枝三鳥の歌

 

中古十組惣包

一 名所香    桜楓模様   

一 源氏香    香図志のぶ

一 競馬香    赤黒馬人形

一 三*柱香    *柱図散し

一 矢数香    宗弓の絵

一 草木香    草木の絵

一 舞楽香    楽器の絵

一 源氏四町香  御簾官女の絵

一 住吉香    橋鳥居松の絵

一 煙争香    冨士浅間山の絵

 

新十組惣包

一 花軍香    梅桜の絵

一 古今香    流水散花

一 呉越香    馬上甲冑人形

一 三夕香    三夕の内

一 蹴鞠香    四木鞠の絵

一 鶯 香    梅鶯

一 六儀香    松榊鳥居玉垣

一 星合香    七夕の絵

一 闘鶏香    白黒鶏にうちは

一 焚合花月香  散花三ケ月

 

惣包折形

[] 寸法 定めの通りなり

此の表香組模様絵彩是なり

 

小包折形

[] 寸法 法の通り

小包模様好みに次第 大方は無地なり

 

古十組 小包雛形 左の如し(以下図)

*柱香    試 本香

花月香     試 本香

宇治山香    試 本香

小鳥香     本香

郭公香     本香

小草香     試 本香

系図香     本香

源平香     試 本香

焚合十*柱香  試 本香

鳥合香     試 本香

 

中古十組 小包雛形 図の通りなり(以下図)

名所香    試 本香   

源氏香    本香 無試本香一二三四五各五包宛 五五二十五包

競馬香    試 本香

*柱香    本香

矢数香    試 本香

草木香    本香

舞楽香    試 本香

源氏四町香  試 本香

住吉香    試 本香

煙争香    試 本香

 

新十組 小包雛形 図の通りなり(以下図)

花軍香    試 本香

古今香    試 本香

呉越香    試 本香

三夕香    試 本香

蹴鞠香    試 本香

鶯 香    試 本香

六儀香    試 本香

星合香    試 本香

闘鶏香    試 本香

焚合花月香  試 本香

 

以上

 

  当流香合式を以って客を招き、組香催す可き時は、右三十組の内を以って興業致す可き本意なり。客の望に依り外組、新組とも時宜に催すべし。

  一 三十組の内、盤立物、惣包に順じ、三段の左別有るべし及丈結構を○すを手柄とす。図式は別書に委し。

  一 平日の席内、三十組*柱く事免ずと云うにはあらず。されども古十組は遠慮あるべし。十*柱香は組香の○にして、門に入るの教え、初めより免あり。

  一 当流組香の事は、古元として、その外、世に翫び行わるを集めて、先師の意を結びて法の組香、其の師の働きを残す。依って当流組香定まれる数なし。

  右組香式の事は、香道の小口、多くは口傳にして書籍に少なし。口傳区々にならん事を憂て、是を記し置く者なり。

 

以上

 

飯田政宣

小野朝登

伊與田勝由(在判)

伊藤辰芳

※ このコラムではフォントがないため「」を「柱」と表記しています。

 

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