香筵玩具(こうえんがんぐ)

『十種香暗部山 後附』

空華庵忍鎧   享保十四年(1729) 写本 1冊

 

《表紙》「日静重簾邃 風清一縷長 『香筵玩具』」

《香道具の図》(本書には項立てがないため便宜的に項目を立てています。)

十種香箱 

同 袋(入れ物)

對香爐

香盆

香箸火箸立 

同 網(入れ物)

香箸 火箸 火味 香匙 灰押 銀夾 羽帚 鶯 香割

香外包 試香包 本香包

重香箱

同 袋(入れ物)

火取(香爐)

符箱 小筥(香札箱)

銀臺 試銀臺(香盤)

符筒 折居十折 銀葉入 *柱*1燼入(たきがらいれ)

記録紙 名乗紙

競馬香之磐 

立物(人形、勝負木)

矢数香之磐 

箭(や)数香 箭十本 並 箭臺 金麾十 銀麾十

名所香磐 

名所香花紅葉

源氏香之図

《上記に関する概説》

一 十種香箱をつくるに種々の様有るべし・・・(下略)

一 香盆  塗物 蒔絵 或いは青貝 唐木の類好みに従う・・・(下略)

一 香箸 火箸立 金物すかし彫り物などとあるべし・・・(下略)

一 香箸 唐木にて堅きをよしとす・・・(下略)

一 銀葉十三枚このほか多きを厭わず・・・(下略)

一 銀葉入 堆紅 青貝 塗物 蒔絵何れにても袋に入れするもよし・・・(下略)

一 **1燼入(たきがらいれ) 陶器或いは金物のるひ(類) 網袋に入れて可なり・・・(下略)

一 重香合 堆朱 青貝 蒔絵 塗物古風なるを袋にいれたるよし・・・(下略)

一 符は 十二枚にて小筥に十箱(符数合わせ百二十枚なり)是を外筥に入れる事図のごとし・・・(下略) 

一 符筒 唐木 挽物 木地に蒔絵また塗物(符絵)形は所々あり・・・(下略)

一 折すえ(居)十枚 縮みに色絵 金砂子また行成紙の類うらは必ず・・・(下略)

一 《折居つづき》(段落の間違いか?)銀箔紙なるべし・・・(下略)

一 銀葉臺 唐木 黒柿など是あるべし・・・(下略)

一 火取香爐 木にて造る 内金にて 梨地 蒔絵など古風なるがよし・・・(下略)

一 香包はその香によりて各かわる・・・(下略) 

一 外包 折り様は何香にても同じことなり・・・(下略)

一 記録紙 奉書 摺糸 引間等なり 卦あるは古法にあらず・・・(下略)

一 競馬香磐 二面寸法図にあり・・・(下略)

一 同人形二つ 馬二つなり・・・(下略) 

一 箭数香乃盤 唐木類 黒柿 けやきにても・・・(下略)

一 同箭十本 羽は白山鳥染羽 生替り(ふかわり)などつづりたるも見立よし・・・(下略)

一 金銀乃麾 より金糸銀糸の光よきを用ひ根付の瓢箪は染め象牙よし・・・(下略)

一 名所香乃磐 木は前のごとく何れにても罫は角金粉朱にても図のごとくしるべし・・・(下略) 

一 同花紅葉は 桜五本紅葉五本 白赤の*緒また*板または紙にてもつくる・・・(下略)

一 源氏香図一冊折りて手鑑のごとくちいさく造るべし・・・(下略)

「古来香道具格式そなわりつるやに首尾まったからず・・・(中略)

・・・心ざしありていまだ道に立ち入らず且つ遠つ国の境をへだててゆかしからむ人のこしらへもてあそばむ時のたよりともなりぬかしと思うのみ」

空華庵忍鎧 早述

《あとがき》

 

享保十四年 季秋 吉日

 

*は、解読不能

*1は、 燼の「灬(れんが)」を抜いた字。

「磐⇔盤」等、用字の差異については、原点に基づい記載しています。

 

 

※ このコラムではフォントがないため「」を「柱」と表記しています。

 

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