四月の組香

源氏物語の五十四帖を全て名目にした組香です。

名目が多数ありますので香の出の順番を間違えないように注意しましょう。

※ このコラムではフォントがないため「ちゅう」を「*柱」と表記しています。

 

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説明

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  1. 香木は4種用意します。

  2. 要素名は、「一」「二」「三」と「ウ」です。

  3. 香名と木所は、景色のために書きましたので、季節や組香の趣旨に因んだものを自由に組んでください。

  4. 「一」「二」「三」は各4包作り、「ウ」は1包作ります。(計13包)

  5. 「一」「二」「三」は、それぞれ1包を試香として焚き出します。(計3包)

  6. 残った「一」「二」「三」各3包に「ウ」を加えて打ち交ぜます。(計10包)

  7. その中から任意に1包引き去り、残る9包を3包ずつ3組に別け置きます。(3×3包)

  8. 引き去った1包は、総包に戻します。(捨て香)

  9. 本香は、3炉毎に3回廻ります。(9炉)

  10. 連衆は、3炉毎に試香に聞き合わせ、名乗紙に聞の名目を3つ書き記して提出します。

  11. 執筆は、連衆の回答を全て記載し、当たりに点数分の点を掛けます。

  12. 点数は、1要素の当たりにつき1点と換算します。(9点満点)

  13. 下附は、全問正解は「全」、その他は点数で書き表します。

 

春の日差しだけでシアワセ一杯になる今日この頃です。

 最近、「アヒルと鴨のコインロッカー」という映画を見ました。この映画は全編仙台ロケで製作されているため、見知った人や見慣れた風景が場面ごとに映りこんでいるのを興味深く見ました。この映画の主人公の1人は「ブータン人」で、ストーリーの中に「輪廻」や「利他」、「慈悲」などを意識した彼の生き方が、そこはかとなく現れています。ちょうど「シアワセってなんだっけ?」と考えていたところだったので、ブータンの「国民総幸福量」のことを思い出しました。

 「国民総幸福量」は、ブータンの第4代国王ジグメ・シンゲ・ワンチュクが、わずか21歳の時に提唱した「国是」に基づく指標で、基本的には『経済成長自体が国家の目標であってはならない。目標はただひとつ、国民の幸せに尽きる。経済成長は幸せを求めるために必要な数多い手段のうちの1つでしかない。そして、富の増加が幸福に直接つながると考えるのは間違いである。』という考え方です。それから30年間「自然や人との共存と心の豊かさ」を意識しつつ、経済活動を含めた国民の諸活動がなされ、アジアの最貧国から一躍トップに踊り出るという経済発展を成し遂げたにもかかわらず、2005年に初めて行われたブータンの国勢調査での「あなたは幸せですかという質問に、実に97%の人が「幸せだ。」と答えたと言います。このことが国際社会やエコノミストに衝撃を与え「国民総幸福量」(GNH)は一躍時代の寵児になりました。そして、ブータンは、2006年に「主権在民」となり、国民は国王の絶対的庇護から離れました。これまで、小さな世界で「生活まわりのシアワセ」を実感していた彼らも、テレビとネットから押し寄せるグローバリゼーションの波に洗われ「シアワセってなんだっけ?」と改めて疑問を持ち始めていることでしょう。ただ私は、それでも、彼らが独立の盾としている「仏教的な精神文化」を維持し、今後とも経済との調和ある発展を遂げることを祈っています。

 一方、我が国に視点を変えますと、「経済発展と物質文化の氾濫に、人の心が置き去りにされて、人々が孤立している景色」が見えます。経済的な豊かさによって、私たちは「便利」や「自由」を勝ち取りましたが、その分、勝手気ままに行動するようになり、「お金さえあれば独りでも生きて行ける」と思い上がっているのではないでしょうか?また、その「お金」の出所が誰であれ、「一旦、自分のものとなれば頓着しない」という状況にも、この病巣の深さを感じます。私には、お互いが自然や社会、地域、家族で「持ちつ持たれつ」の相互依存をしながら生きていることをすっかり忘れてしまっているように思えてなりません。

 それでは何故、日本がここまで「心貧しい国」になったのでしょう?私は「時にお金をかけるようになったから」だと思っています。「時」という「抗し得ない無限の流れ」を切り取って、それを価値観に変える。・・・このことは最も「贅沢なこと」です。古来日本では、「鶯の初音」を誰よりも早く聞くことに命を掛け、「旬」のものをいち早く食べること、「夏に氷室の氷を食べる」というようにその時期には存在しがたいものを食することが、最も「贅沢」とされてきました。しかし、その贅沢は限定的なもので、一途に「心の満足」に繋がっていました。昔の日本人は、「ものがあること」自体に満足し、それを失わないように大事に扱ってきました。その上で「旬」という贅沢は、「次元の違う豊かさ」を実感させてくれるものでした。

 しかし、現在の日本では、全ての商品に「旬」があり、「旬」が過ぎたものは機能的には同じであっても無価値に等しい扱いを受けます。このため、人々は「誰よりも早く手に入れること」に出費を惜しみませんが、反面 、「時」というものは、買った時点からその商品を時代遅れにしてしまいます。そうすれば、「満足感」が得られるのは、ほんの一時で、またすぐに「渇望感」が顔を覗かせてしまいます。この「絶えせぬ渇望感」が「餓鬼道」の始まりです。私は、むしろ「時」というものを「無限で無料のエネルギー」として活用すべきだと思ってます。(頑固な汚れが、浸け置きすれば取れるように・・・癒えない悲しみが時に溶けて行くように・・・)

 幸い、日本は「高度経済成長」とは言われながら、昭和20〜40年代の約30年間を掛けて、貧しさから脱却し、豊かさを実感してきたため、薄っぺらでない「ものの価値」を知っている世代も少なくありません。しかし、現代の若者は、ものが満たされた時代に生まれてきたため「欲しいもの」と「必要なもの(無いと支障の出るもの)」との区別もつかなくなって、「服を買うために学費が払えない」などの訳のわからない状況に陥っても、「旬」を追い「餓鬼道」に突き進んでいます。

 巷では、ウィルス被害が出れば「ウィルス対策ソフト」が売れ、誘拐や性犯罪は増えれば「警報器」が売れ、耐震擬装があれば「建築基準」が強化され、食の安全が脅かされれば「自然食品」が売れています。これらも、一時の安心を得るためにそれなりの経済効果はありますが、「被害にあうこと」への不安を根本的に払拭できるわけではなく、「社会不安すらも物欲の種」にしかなっていません。その一方で、物質的には、何不自由ない生活をしている者同士が「イジメ」や「虐待」というストレスの擦り合いをし、心折れた人が年間3万以上も「自殺」しています。このように、「至上目的化された経済発展」は、早晩、我が国の「心の豊かさ」を空洞化させ、内部崩壊に導くことでしょう。(もっとバブリーに急発展してしまった中国は、物質的満足感が充足されていく過程も短かったため、既にその兆候を見せ始めています。)

 「物質的満足」を求めるのは、もう十分ではないでしょうか?これからは、まず自分が「心豊かであることを自慢できる人間」になることが大切だと思います。そして、「人は相互に依存しあって生かされている」ことを自覚し、そのことに感謝すべきだと思います。その感謝の表れとして、小さなところから「他人の苦しみ」を救うことを心がけ、そのことが「自分の心の平安」となるように日々の生活を慣らしていきましょう。私の友人の中にも「自分が一番貧乏くじを引いている」「ストレスを一杯受けている」とおっしゃる方がたくさん居られますが、私はその時に「神様は、その人の越えられない試練は与えないものです。それはアナタの『魂の位』がその人たちより高いからですよ。たとえ、彼らのくれるものが邪念であっても、結果的には、それを昇華させたアナタの『徳』になりますよ。」(与えた人には『業』になるんですけど・・・)と申し上げています。

 私は、香道も仏道も無頼派ですけれども、人間社会の関わりというものを「業」と「徳」という物理的エネルギーのやりとりだと思っています。エネルギー保存の法則から言えば、そうして、得られた「他人の幸せ」は、やがて「自らの喜び」となって戻ってきます。「シアワセ」とは、まず自ら「足れることを知ること 」、その余禄を他人に施して、それも廻りまわって自分に帰る・・・私は、このような「シアワセの循環型社会」の到来を祈念しつつ、「心の文化」をサポートし続けて行きたいと思っています。

 今月は、季節に関わりなく、珍しい「源氏香」(げんじこう)をご紹介いたしましょう。

今回ご紹介する「源氏香」は、聞香秘録の『香道春曙抄』に掲載のある組香です。お馴染みの「源氏香」は、5種5*柱焚きであるのに対して、この組香の香種は4種、本香数は9*柱と全く異なっています。他の香書にも類例は見られませんので、初めて見られる方も多いかと思います。また、5*柱焚きの源氏香は「桐壺」と「夢浮橋」を除いた52種類によって成り立ち、「源氏香之図」の美しさで知られていますが、こちらの組香は、54通りの名目が全て使われ、それが規則正しく並んでいるところに潔い美しさがあります。今回は、『香道春曙抄』を出典として書き進めたいと思います。

まず、この組香の要素名は「一」「二」「三」「ウ」と匿名化されています。要素名が匿名化されている組香は、「盤物等でゲーム性が強い」「聞きの名目が景色の主役」等の理由で、出されるお香に特段の景色をつけず、「単なる素材」として取り扱うものが多く見られます。この組香については、主に聞の名目が用意されていることより、要素名は、聞の名目を導き出す記号として取り扱われているのでしょう。また、全体の香数が「一(4包)」「二(4包)」「三(4包)」「ウ(1包)」で、このうち「一」「二」「三」の各1包を試香に焚き出し、本香の前段で「一(3包)」「二(3包)」「三(3包)」「ウ(1包)」=10包とするところまでは、「有試十*柱香」の構造と全く同じとなっています。このこ とからも作者が「十*柱香」の派生として記号化した要素名を用いていることが推察されます。

ただし、この組香の構造の根幹は、「右試香三*柱終りて、本香十包打ち合わせて三包ずつ三組に分け置く」と出典に示されてあり、残った10包から任意に1包を引き去って、本香は3包ずつの3組に分けてから焚き出すこととなっています。このことによって、「十*柱香」の構造から決別して、独特の組香へと歩みを始めます。全体的には「9*柱焚き」ですし、組香名は「源氏香」ですから、「九*柱源氏」と言わざるを得ないのですが、実質的にはその9*柱を、3包ずつ聞き込んで行くため、一席で「三*柱源氏を三回行う組香」という形となります。「三*柱源氏」であれば「系図香」からの派生として他書にも類例がありますので、イメージはしやすいかと思いますが、この組香では、試香がありますので「一」は何処に出ても「一」、「二」は何処に出ても「二」というで意識で聞きます。また、「三*柱焚き」であれば「香種は3種」で行うのが常道ですが、この組香では「香種は4種」あり、常に各組に「必ず1種以上焚き出されない香がある」ということになります。この点で、単に同香・異香の判別をして回答する「源氏香」や「系図香」とは、若干イメージの違うところがあります。

さて、本香は「何れも一*柱ずつ次第に焚き出す」出典にあり、「三*柱開」(さんちゅうびらき:3炉ごとに回答を宣言して記録する形)のような指定はありませんので、本香9炉が、3包×3組の流れを意識しつつ順次焚き出されることとなります。この時、連衆は、試香に聞き合わせて炉の番を間違えないようにメモを取っておくことをお薦めします。ここで注意すべきことは、「客香」である「ウ」についても本香の前段で引き去られる場合があり、「試香で聞いたことの無い香りが見当たらない」ということもあり得るということです。メモや回答の吟味の際に「客香は必ず出るわけではない」ことを意識しておきましょう。

本香が廻り終えましたら、連衆は、3包ずつの香の出を聞の名目と見合わせて、3つの名目を書き記します。この組香に配置されている聞の名目は下表のとおりです。

 源氏香名目

一・一・一

一・一・二

一・一・三

一・一・ウ

一・二・一

一・二・二

一・二・三

一・二・ウ

桐壷

きりつぼ

帚木

ははきぎ

空蝉

うつせみ

夕顔

ゆうがお

若紫

わかむらさき

末摘花

すえつむはな

紅葉賀

もみじのが

花宴

はなのえん

 

10

11

12

13

14

15

一・三・一

一・三・二

一・三・三

一・三・ウ

一・ウ・一

一・ウ・二

一・ウ・三

あおい

賢木

さかき

花散里

はなちるさと

須磨

すま

明石

あかし

澪標

みおつくし

蓬生

よもぎう

 

16

17

18

19

20

21

22

23

二・一・一

二・一・二

二・一・三

二・一・ウ

二・二・一

二・二・二

二・二・三

二・二・ウ

関屋

せきや

絵合

えあわせ

松風

まつかぜ

薄雲

うすぐも

朝顔

あさがお

乙女

おとめ

玉鬘

たまかずら

初音

はつね

 

24

25

26

27

28

29

30

二・三・一

二・三・二

二・三・三

二・三・ウ

二・ウ・一

二・ウ・二

二・ウ・三

胡蝶

こちょう

ほたる

常夏

とこなつ

篝火

かがりび

野分

のわき

行幸

みゆき

藤袴

ふじばかま

 

31

32

33

34

35

36

37

38

三・一・一

三・一・二

三・一・三

三・一・ウ

三・二・一

三・二・二

三・二・三

三・二ウ

槇柱

まきばしら

梅枝

うめがえ

藤裏葉

ふじのうらば

若菜上

わかな

若菜下

わかな

柏木

かしわぎ

横笛

よこぶえ

鈴虫

すずむし

 

39

40

41

42

43

44

45

三・三・一

三・三・二

三・三・三

三・三・ウ

三・ウ・一

三・ウ・二

三・ウ・三

夕霧

ゆうぎり

御法

みのり

まぼろし

匂宮

におうのみや

紅梅

こうばい

竹河

たけかわ

橋姫

はしひめ

 

46

47

48

49

50

51

52

53

54

ウ・一・一

ウ・一・二

ウ・一・三

ウ・二・一

ウ・二・二

ウ・二・三

ウ・三・一

ウ・三・二

ウ・三・三

椎本

しいがもと

総角

あげまき

早蕨

さわらび

宿木

やどりぎ

東屋

あずまや

浮舟

うきふね

蜻蛉

かげろう

手習

てならい

夢浮橋

ゆめのうきはし

以上のとおり、54通りの名目が順列どおりに規則正しく並んでいます。(物語のストーリーや登場人物とは無関係ということです。)

出典の一覧表では、「5行×10列+4」という形式で、54帖の名目が示されていますが、ここでは、名目の一覧を若干わかりやすく区切り直しています。数学的に公式で説明すると解りづらいと思いますので、表を見比べながら下記の解説をご覧ください。

 まず、「一」が1番目に出る組合せは、「一、一、X」「一、二、X」「一、三、X」「一、ウ、X」の4通りです。さらに最後の「X」の中に「一、二、三、ウ」が入ることができれば、それぞれ4通りで総計16通りとなりますが、「ウ」は1つしか出ないため、「一、ウ、X」の「X」に「ウ」が入ることはありませんので、1通りが除外されて「4+4+4+3=15」の15通りとなります。これが、表の上からbP〜15までに表された組合せで、同じく「二」が1番目に出る組合せもbP6〜30までの15通り、「三」が1番目に出る組合せもbR1〜45までの15通りとなります。(これを画面の都合上、8列と7列とに区切っています。)

 次に、1つしかない「ウ」が1番目に出る組合せは、「ウ、一、X」「ウ、二、X」「ウ、三、X」の3通りのみとなります。さらに「X」の中には「一、二、三」しか入ることができないので、それぞれ3通りでNo,46〜54に示す合計9通りとなります。(「ウ」が2度出ることはあり得ませんのでう「ウ・ウ・X」や「ウ・X・ウ」の組み合わせはありません。)

 そうして、全ての組合せを合計すると15+15+15+9=54通りとなり、いみじくも「源氏五十四帖」と合致すると言うわけです。この組香では、「ウ」が1包しかでないというところが、「数合わせのポイント」となっています。このように、伝統的な「有試十*柱香」の三葉一花形式を前段で表現しつつ、そこから1包を引き去った9包(3包×3組)で54通りの香の出を編み出した、作者の数学的才能に敬服します。おそらく、この組香は「五*柱源氏香」が組合せの関係で52通りしか配置できず、秘伝を以って「桐壺」と「夢浮橋」の除外を正当化していることに対する、後世香人の1つの試みであったのではと思っています。

また、三*柱ずつに分けて名目を選ぶことで、この組香は「系図香」やここから派生する「三*柱源氏香」とも通じる形となるということは、前述のとおりです。ただし、この組香は、香種が多いため聞の名目を「香図」で示すことはできません。例えば「紅葉賀(一、二、三)」と「花の宴(一、二、ウ)」「賢木(一、三、二)」等について、「全て異香」という判断をすると、それを表す香図は、どれもこれも『|||』になってしまうからです。香の出の順番までも当否の対象とするこの組香で、どうしても「香図」で遊びたい場合は、例えば「一(赤)」「二(黄)」「三(青)」「ウ(黒)」とそれぞれ色分して、書き記すこととすると、見た目にもカラフルで楽しいかと思います。

例:「紅葉賀(|||)」「花の宴(|||)」「賢木(|||)」 

 続いて、連衆が9炉分のメモから名乗紙に聞の名目を書き記す際には、組み分けや順番を間違えたりしないように注意してください。また、自分の書いた3つの名目に含まれる「各要素が全体で3包以上になっていないか?」も確認してください。例えば聞の名目に「桐壺(一・一・一)」を一度使った場合は、他の組に須磨(・三・ウ)」や「夕顔(・ウ)」と書くことは「一」が3つ出たことになるので理論的にあり得ません。後述のとおり、各自の点数は1炉ごとの当否に付きますので、このような回答は、結果的に「一」が当る確率を増やすための「ルール違反の回答方法」となります。十*柱香でもよくあることですが、「メモに同じ要素が4つあって、いまさら判別が聞かないので答えにも4つ書いちゃおう!」というのは、減点されても文句の言えないほど「はしたないこと」であり、「敢えて、間違いとわかっていても本香数に見合った回答となるよう心掛ける」のが、雅人というものだと思います。

 最後に、連衆の回答が戻りましたら、執筆は、各自の名乗りの下に回答を全て書き記します。その後、香元から香の出が宣言されますので、これを香の出の欄に要素名で「一、二、三  二、二、一  一、三、三」のように組ごとに若干離して書き記します。(この場合、紅葉賀、朝顔、花散里」の組合せが全問正解となります。)ここで、執筆は、自ら「聞の名目」と見合わせて「一炷ごとに」当否を確かめることが必要となります。例えば、1組目が「一、二、三」の場合は、聞の名目は「紅葉賀」ですので、一組目に同じ名目が記載された正解には「三点」を各自の回答の右肩に「ヾ(長・短・短)」と点を掛けます。また、この組香では「片当たり」が認められていますので「末摘花(・二)」「花散里(・三・)」「蓬生(・ウ・)」と回答された答えは下線部が2つ当っているので「二点」を賭けます。同じように最初の「一」のみ合致する名目「桐壷(・一・一)」、2炉目の「二」のみ合致する「乙女(二・・二)、3炉目の「三」のみ合致する「幻(三・三・)」なども1つ当っているので「一点」を掛けます。一方、組内の要素名が同じであっても香の出の順番が違っている「蛍(二・三・一)」「若菜下(三・二・一)」などは「無点」となります。このように、執筆は1つの名目を一旦3包の要素に読み替えて、それぞれの要素名に当否を付けることとなりますので、間違わないように注意することが必要です。

 こうして、各要素の当たりに点がつきますと、満点は9点となり、これには「全」と下附します。その他は、点の数により漢数字で下附します。勝負は、最高得点者の上席の方の勝ちとなります。皆様 も「三々九度の源氏香」を是非お試しください。

  源氏香を色分けで示しててみようというインスピレーションは、ジャパニーズ・アニメの「モノノ怪」(第8話 鵺)から得ています。この作品の中では、「源氏香之図」を色と長さの違った「積み木」で組んで示す回答方法が用いられています。全体的には、「猟奇的な作品」なので、あまり大っぴらにはお薦めできないのですが、香道に真っ向から向き合ったアニメ作品であり、前半の数十秒、目をつぶっていれば、あとは「香人としても納得できるストーリー」になっていると思います。ご参考まで・・・

 

「おかげさまの心」って大事ですが、それを表現するのって難しいですよね。

そこで、どんな人にもなるべく話しかけることにしています。

「ありがとう」が唐突にならないように・・・

 

組香の解釈は、香席の景色を見渡すための一助に過ぎません。

最も尊重されるものは、皆さん自身が自由に思い浮かべる「心の風景」です。

区切り線、以下リンク

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