六月の組香

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水辺に咲く杜若や菖蒲を聞き当てる組香です。

香の出によって証歌の変わるところが特徴です。

※ このコラムではフォントがないため「 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\和裕\Documents\01_香筵雅遊\koengayu\monthly\chuu.gif」を「*柱」と表記しています。

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説明

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  1. 香木は6種用意します。

  2. 要素名は、「杜若(かきつばた)」「菖蒲(しょうぶ)」と「水草(みずくさ)」です。

  3. 香名と木所は、景色のために書きましたので、季節や組香の趣旨に因んだものを自由に組んでください。

  4.  「杜若」「菖蒲」は各2包、「水草」は別々の香を4種各1包作ります。(計8包)

  5. 「杜若」「菖蒲」は各1包を試香として焚き出します。(計2包)

  6. 手元に残った「杜若」「菖蒲」各1包のうち1包を任意に引き去り、これに「水草」の4包を加え打ち交ぜます。(計5包)

  7. 本香は「札打ち(ふだうち)」で5炉廻ります。

  8. 香元は、香炉をとともに、折居(おりすえ)を廻します。

  9. 連衆は、試香と聞きあせて1炉ごとに答えの「香札(こうふだ)」を1枚打ちます。

  10. 執筆は、折居を開き、各自の香札を「札盤(ふだばん)」の上に伏せて、仮に留め置きます。

  11. 本香が焚き終わったところで、執筆は札盤の香札を開いて連衆の答えをすべて書き写します。

  12. 香元は正解を宣言し、執筆は連衆の当否の「点」と「星」を打ちます。(委細後述)

  13. 点数は、「杜若」「菖蒲」の当たりは2点、独聞(ひとりぎき)は3点、その他は1点となります。

  14. 一方、「杜若」と「菖蒲」の聞き違えは1星(減点)、独りで間違えると2星(減点)となります。

  15. 下附は、全問正解は「皆」、その他は「○点」 「○星」とそれぞれ2行に並べて書き記します。

  16. 勝負は、各自の得失点を差し引きし、最高得点者のうち上席の方の勝ちとなります。

 

爽やかな風がいつしか湿り気をはらんで梅雨となり、半年の汚れを洗い流して行きます。

12年前のことになるのですが、あるきっかけで『貌佳花』を目にしました。『貌佳花』は、赤松ね美さん(別名:森本ヤス子:平成十年三月十八日 96歳で没)が昭和47年菊月(9月)に彼女の交友サロンである「樹の会」からから刊行した所謂「私家版」で、段ボールの外箱には高価な中国古渡りの朱を使って題名と作者名を染めた紙が貼り付けられ、著名な染色作家である川田幹氏の手刷りの装丁と挿絵に彩られているという「限定二百部」の「豪華愛蔵版」です。

内容は、香の家に嫁いだ主人公「ねみ子」を通して、昭和の香道サロンに集う方々やその優雅な風情を、折々の香席を織り交ぜながら描いている「小説」です。この小説の創案の端緒となったのは、「古い香箱に入っていた秘伝書」らしく、「虫が食ってぼろぼろになった手書き本をせめて活字に移したい」という一心だったと言いますから、私の『香筵雅友』との出会いに似ています。彼女もやはり香道文化の伝承を意識して書 きはじめたのでしょう、その内容には自然に「香道のイロハ」が理解できるように、教科書的な著述も優しい書きぶりで加えられています。

この頃の香道サロンのメンバーは、貴人、文化人、豪商らが多く、特に女性は、「まともな奥方でないこと」を一種の「選民思想」として持っていたように伺えるのが興味深いところです。「このような遊芸に遊ぶことは、なまじの亭主子持ちには長続きはしまい」と自らから「子無し生き別れ倶楽部」と揶揄されることを喜んでいるような粋人の集まりでした。また、「アナタたちは貴族か?」と聞かれて「敗戦で平等になった者たちです。」と笑い合えるような度量と財力を要して、月々の香筵を催していたようです。香道が特権階級から一般富裕層にもたらされた昭和の復興期に、東山文化の弄清亭(ろうせいてい)よろしく、本物の名香と本物の道具に囲まれて、「ひと・もの・かね」が三拍子揃った精神性の高い香遊びに興じていた様子が伺え、本当にうらやましく思えます。

このように優雅な香筵を嗜んでいた「ねみ子さん」は、「庶民はかねて高嶺の花と憧れてきた香道を手に入れて見ればどうということは無かった。貴族が捨てた花束を拾ったようなものである。とはいうものの、一面は貴族から渡されたバトンだと、後生大事に思っているものもある。わたくしのような、どうでもよいのは、その後の移り変わりを見せていただくことはしあわせである。私は十分に見物出来た。いい時代に生まれ合わせた しあわせである。」と第一章の「もんこう」を結んでいます。

私は、この頃から10年を経た昭和末期に入門し、平成の御代の香道を「草葉の陰から」俯瞰して来たわけですが、彼女と全く同じ感慨を持っています。「時代に迎合すれば正統性と精神性が失われる」という古典芸能共通の命題を背負いつつも香道は適度に大衆化し、当時「庶民」と称していた「富裕層」の手から、本当の「庶民」にバトンタッチされました。私の目の黒いうちに「習い事」として時世に定着した香道の最期を看取ることは無いだろうという安心感は出てきたものの、素材の希少性から「数の増加が質の低下と比例する」という宿命を持った香道がこれからどのようにして命を繋いでいくのか? 私は「いい時代に生まれたしあわせ」に浸りつつ、「悟道」という独りよがりの香に身を委ねています。

書名の「貌佳花」とは、この時期の花「杜若」の異称です。雨に洗われた紫と緑の色が「春の火照り」を沈めてくれるような美人さんの花ですね。

今月は、池のほとりの花競べ「紫競香」(むらさきくらべこう)をご紹介いたしましょう。

「紫競香」は、米川流香道『奥の橘(月)』に掲載のある組香です。梅雨の時期の組香といえば「水茎香」や「菖蒲香」等、水辺の花をテーマとしたものが多いのですが、そのような水辺の組香の中でも「紫競香」という色彩感の際立つ題号がひときわ目に留まりました。「紫競香」の小記録を見ますと、どちらも紫色が美しい「菖蒲」と「杜若」の「花競べ」を題材とした組香であることがわかります。今回は、「菖蒲」を題材とした組香の中でも多彩な趣向が配されたオリジナリティ溢れる『奥の橘(月)』を出典として筆を進めたいと思います。

まず、「菖蒲」「杜若」と言えば「何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」というフレーズを思い出します。これは、「菖蒲」も「杜若」も同科の花で区別しにくいところから、「どれも優れていて選択に迷う」ことを意味する慣用句となっています。出典を調べますと『太平記(巻第21)』の「源頼政、鵺(ぬえ)退治」の逸話に尋ね当たりました。

 近衛院の御時、紫宸殿の上にが飛んで来て人々を悩ますのを源頼政(みなもとのよりまさ)が勅命を賜って射て落しました。近衛上皇は、喜んで、「この手柄には、どんな褒美で報いようか?」と考え、かねてから頼政が藤壷殿の女房の「菖蒲(あやめ)」に懸想していることを知り、菖蒲を下すこととしました。

 但し、頼政は、菖蒲の事を噂に聞いているだけで、未だ見たことが無いらしい・・・。そこで一興、菖蒲と同じくらい美人の女房をたくさん並べ、その中から菖蒲を選ばせることとしました。

 後宮3000人の中から選りすぐりのうら若き美女たちを12人、同じ様に装束させて並べ、金紗の薄い帷の越しに見定めさせましたが、頼政は目移りするばかりで、心は迷い、何れを菖蒲と引き当てるべきか分からなくなり、苦し紛れに「五月雨に沢べのまこも水たえていづれあやめと引きぞわづらふ」と和歌を詠みました。

 この歌を聴いて関白が感じ入り、自ら立って菖蒲の袖を引き、「これこそおまえの宿命の相手だ」と引き合わせ、頼政は、長年久しく恋い忍んでいた菖蒲を娶りました。 めでたし、めでたし・・・ 

次に、この組香の趣旨は、題号と要素名を見れば自ずと杜若と菖蒲の「紫の色」を競べるものであることは察しがつきます。このことについて、出典には「杜若出たるや菖蒲出たるやを考え聞く香なり。」とあり、組香の所作の中で「杜若」と「菖蒲」のいずれかのみを残し、数多ある水草の中からこれを聞き当てることが本旨であることが記載されています。そういう意味では、太平記の「五月雨の・・・引きぞわづらふ」も証歌としてふさわしいような気がしますが。この組香の第一の特徴は多彩な証歌であり、あらかじめ用意された10首の和歌のうち1首が、香の出によって証歌として書き記され、 「聞香の後になって組香全体の景色が浮かんでくる」という趣向に最も創作者の腐心が伺われます。

因みに『貌佳花』に掲載された「菖蒲香」「五月雨(2包)」「真菰(2包)」「菖蒲(1包)」から「菖蒲」を探す趣旨の組香で、この歌が証歌として付されています。また、杉本文太郎の『香道』に掲載のある「菖蒲香」は、「五月雨(2包)」「真菰(1包)」「菖蒲(1包)」「水(5包)」から「菖蒲」を探す趣旨の組香で「さみだれにに池の岩垣水こえていづれあやめと引ぞ煩う(源平盛衰記 源頼政)が証歌となっています。いずれ、「菖蒲香」は「引きぞ煩う」組香であることがわかります。 

続いて、この組香の要素名は、「杜若」「菖蒲」と「水草」の3種となっています。「杜若」と「菖蒲」は、どちらも紫の花映えを競い合う主役となります。これらの花のうち1つが本香焚き始めの前段に香元の所作でどちらかが抜き去られることにより、聞き当てるべき「紫の花」が決まることとなります。

「菖蒲」「杜若」アヤメ科アヤメ属の多年草ですが、園芸用に改良された「花菖蒲」を加えると世界で200種類以上あるそうです。「菖蒲」の和名は「文目(あやめ)」で、「剣状の細い葉が縦にならんで筋目だっている様子のことである」とする説と「花びらの付け根にある虎斑模様の様子(綾目)である」とする説があります。一方、「杜若」の和名は「書き付け花」の転訛で、花の汁を布にこすって染めることが出来たということから来ているようです。両者の端的な違いは、「花びらの基部」で菖蒲は網目状の模様があり、杜若は白い色をしているということ、また、生育地が菖蒲は水とは関係なく山野や草原に生えるのに対して、杜若は湿地に生えるというところです。こうしてみると水辺り景色には杜若が似合いなのかもしれません。

「水草」については、主役である「紫」を見つけにくくする「仇花(あだばな)」の役目をするものです。出典には「水草、四包無試別々の香なり。」とあり、千差万別の香りで聞き手を翻弄することとなります。このように、1つの要素名について香種を4種用意するというところが、この組香の第二の特徴となっています。

さて、この組香の構造は、まず「杜若」と「菖蒲」を2包、「水草」を4種各1包の合計8包を用意します。この際、出典に「杜若、菖蒲、似たる香を組むなり。」と記載があるため、出香者は木所や香味等に配慮して似通った香りを選んで香組をする必要があります。「水草」については、色とりどりの「水辺の花」というイメージで木所を織り交ぜて香組するのが順当かと思います。次に、「杜若」と「菖蒲」の各1包を試香として焚き出し、手元に残った「杜若」と「菖蒲」各1包のうち、1包を任意に引き去ります。この引き去りの所作が、「紫競べ」の対戦を意味しますので、香元は大いに「引きぞ煩らわ」なければなりません。続いて、残る1包に「水草」を4包加えて、本香は5包(5種)焚き出します。本香数の「5」は「菖蒲香」と同様、「陰暦五月」「五月雨」の「五」を表すものと思われます。

先月ご紹介しました「牡丹」「桜」の「花王香」では、香席の上で「花競べ」が行われましたが、この組香では、本香の前段で香元が1包引き去った時点で「花競べ」が終わってしまいます。本香では、勝者のみが紫の主役として焚き出されますので、厳密には、「杜若」と「菖蒲」を対峙させて「紫」を競べているという景色が席上に現れることはありません。むしろ、種々の水草の中から「紫の花」を探しているだけのようにも見えることから「探紫香」という題号がふさわしいのかもしれません。因みに、前述の「菖蒲香」では、とちらも「菖蒲と真菰は似た香を使うこと」となっており、雄花が紫色である「真菰」との色の対比を景色としています。「探紫香ではつまらない」と感じられる方は、全ての要素を「紫の花」とイメージして香組すれば、相当に難度は上がりますが、数ある紫の花からひときわ美しい紫を探す「紫競香」を味わうこともできます。

ここで、連衆は、試香と聞き合わせて「水草」の中から「杜若」か「菖蒲」の香を探し当てていきますが、この組香は、出典小引の冒頭に「札使用」とあり、回答は「札打ち」で進めるべきことが明記されています。また、本文中段には、札表梅雨、競馬、子規、早乙女、水鶏鵜舟、初蝉、火串、照射、辻花」、札裏杜若、菖蒲、草、壱人前六枚之」とあり、専用の「紫競香札」があることが示されています。札表の景色を見ますと初夏から夏本番に向かう6月にふさわしい風物が配置されており、要素名に加えて連衆の名乗りでも一層季節感を感じることができるようになっています。一方、「十*柱香の札を用いる時は、杜若唯一、菖蒲唯二、水草に月花の札なり。」との記載もあり、杜若に「一」、菖蒲に「二」、水草にそれぞれ「一花」「二花」「三花」「ウ花」等を用いて、略儀に「十*柱香札」を流用できることも書かれています。

出典に明記はないのですが、この組香は「札打ち」であっても「一*柱開」にはしない方がよろしいかと思います。それは、お目当てである「杜若」や「菖蒲」が出た後の香は何が出ても「水草」と答えれば良くなるわけですから、これでは興ざめです。ここでは、連衆から回収された香札は、執筆が伏せたまま札盤に仮に留めて置き(略儀に逐次香記に書き写しても可)、本香が焚き終わってから開く「札打ちの後開き」方式で行い、「杜若」や「菖蒲」の出が最後まで分からないようにして席を進めた方が面白いかと思います。

さて、本香が焚き終わりましたら、執筆は札盤の香札を開き、各自の答えを香記に書き写します。その際、出典には「記録に水草を草とばかり書くなり。」とあり、「水草」は1字で「草」と書き記すこととなっています。(このため、香札の裏も「水草」ではなく「草」と書いてあると言うわけです。)執筆は、答えを書き写した後、香元に正解を請い、香元は香包を開いて正解を宣言します。これを受けて、執筆は「香の出」の欄に正解を1行で書き写し、正解欄の左横に「杜若」か「菖蒲」の出た炉の順番に従って、下記の通り証歌を書き記します。このことについて、出典には「本香の出るを認める所と上座の聞きとの間一行に書くなり。」とあり、証歌を記録の「奥」に記さないということがこの組香の第三の特徴となります。

証歌については、本香に「杜若」が出た場合と「菖蒲」が出た場合に大きく分けられ、それぞれが「何炉目で出たか?」によって、下記の通り配置されています。

「杜若」が出た場合

1炉目

こなぎつむ縣の井戸のかきつばた花の色こそへだてざりけれ(御裳濯和歌集176 皇太后太夫俊成)

2炉目

あせにける菅田の池のかきつばた幾むかしをか隔て来ぬらん(夫木和歌抄2004 建礼門院右京太夫)

3炉目

かきつばたきつつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞおもふ(伊勢物語 在原業平)        

4炉目

跡もなく志賀のみやこはふりにしをそれかと咲けるかきつばたかな(夫木和歌抄1997 民部卿為家卿)

5炉目

かつまたの池にはいかにかきつばた水なしとてやにほはざるらむ(拾玉集1219 慈円)

「菖蒲」が出た場合

1炉目

五月雨はちかくなるらし淀川のあやめの草もみくさおひにけり(拾遺和歌集108 よみ人知らず)

2炉目

猿沢の池のあやめの玉かづらむかしをかけて根ぞ残りける(夫木和歌抄10829 大蔵卿有家卿)

3炉目

君が代のながきためしに長沢の池のあやめもけふぞひかるる(風雅和歌集2209 前大納言俊光)

4炉目

雨ふればからでや朽ちむ菖蒲草いとど増田の池の沢水(夫木和歌抄10811 民部卿為家卿)

5炉目

皐月来て加茂の社の菖蒲草けふは駒さへひきくらぶなり(夫木和歌抄2658 民部卿為家卿)

このように、「紫」の主役として焚き出された香の出によって、組香の文学的支柱となる証歌を書き換え、組香の景色全体を変化させていくという趣向がこの組香の最大の特徴と言えましょう。

正解が宣言されましたら、執筆は答えの当否によって所定の「点(得点)」と「星(失点)」を付します。出典の「紫競香之記」には聞き違えた要素名の左型に「・」「・・」と「星」のみがと掛かっており、得点を示す「丶」は付けられていません。おそらくは、下附で得失点がわかるようにしてあるため記載を省略するという考え方なのかもしれませんが、やはり、これは「点」「星」を左右に書き付して、各自の得失点を見た目にも分かりやすく示し、下附を入れる際の縦計算が楽になるようにすべきかと思います。

点数について、出典では「杜若、菖蒲の聞き違い一星、独は二星、水草との違い星に及ばず。杜若、菖蒲の中り二点、独は三点、平点一点」とあり、 「紫」の主役である「杜若」「菖蒲」の当たりは2点、独聞には3点の加点要素があります。一方、「杜若を菖蒲」「菖蒲を杜若」と聞き違えた時には1点減点となり、1人だけで聞き違えると2点減点となりますが、例えば「杜若を水草」「水草を菖蒲」のように間違えたものは減点とはならず、単に「0点」と換算します。その他「水草」の当たりは、どの種類の水草が当たって1点と換算されますので、通常よりも易しく感じるかもしれません。因みに、最低点は1人だけで「杜若・菖蒲」の聞き違えた際の「2点」(1+1+1+1−2=2)となります。

下附は、全問正解は「皆」とし、その他は各自の得失点を「四点 二星」などと2行で並記します。星のない場合は「点」のみ書き付します。

最後に、この組香は個人戦ですので、勝負は各自の得失点を差し引きして合計点の多い上席の方が勝ちとなります。ほとんどの方が、何もしなくとも「3点」は獲得でき 、得点のバリエーションも少なく、同点が多く出ることが予想されますので、「杜若」「菖蒲」の当否を絡めたローカル・ルールで優劣を決めても構わないかと思います。

空気が湿り気を帯びる6月は、聞香の好適期で普段よりも香気を深く感じることが出来ます。皆様も是非「紫競香」で梅雨時のつれづれを心豊かに過ごして見てはいかがでしょうか?

 

「貌佳花」を読むと山本霞月さんや勝井家の志野流への思いに誘われます。

霞月さんの一代記の著述を断り、一生後悔していた森本さん・・・

彼岸では楽しい香席をしているでしょうか?

雨去りて茜に映える夕露をたたえて涼し菖蒲草かな(921詠)

組香の解釈は、香席の景色を見渡すための一助に過ぎません。

最も尊重されるものは、皆さん自身が自由に思い浮かべる「心の風景」です。

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