五月の組香

兜飾り

菖蒲の根合わせをテーマにした 盤物の組香です。

当り続けると根に見立てた合点が長く伸びるところが特徴です。

 

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説明

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  1. 香木は5種用意します。
  2. 要素名は、「菖蒲(しょうぶ)」「郭公(ほととぎす)」「早苗(さなえ)」と「恋(こい)」「祝(いわい)」です。
  3. 香名と木所は、景色のために書きましたので、季節感や趣旨に合うものを自由に組んでください。
  4. 「菖蒲」「郭公」「早苗」は各3包、「恋」「祝」は1包作ります。(計1 1包)
  5. 連衆は、「東方(ひがしがた)」と「西方(にしがた)」の二手に分かれます。
  6. 「菖蒲」「郭公」「早苗」のうち、各1包を試香として焚き出します。(計3包)
  7. 手元に残った「菖蒲」「郭公」「早苗」の各2包に「恋」「祝」の各1包を加えて打ち交ぜます。(計 8包)
  8. 8包の中から2包を任意に引き去ります。(8−2=計6包)
  9. 本香は「一*柱開(いっちゅうびらき)」で6炉廻ります。
  10. 本香1炉が焚き出され、聞き終えた客から順に試香に聞き合わせて香札を1枚打ちます。

※以下、16番までを10回繰り返します。

  1. 執筆は、連衆の回答をすべて書き写します。
  2. 香元は、香包を開き、正解を宣言します。
  3. 執筆は、連衆の答えの当否に合わせて所定の点星を掛けます。
  4. 点数は、客香の独聞は3点、2人以上は2点、その他の独聞は2点、2人以上は1点と換算します。
  5. 一方、聞き外した場合はマイナス1点、独りで間違えた場合はマイナス2点となります。
  6. 盤者は、各自の得失点により、盤上の「菖蒲」を進退させます。(委細後述)
  7. 盤上の勝負は、立物を6間進めて、いち早く勝負の場に達した方が「(かちかた)」となります。

    ※ 6包焚き終えても盤上の勝負がつかない場合は、引き去っていた2包を焚き出します。

  8. 各自の当否は得点に見合う「点」減点に見合う「星」を要素名の右肩に掛けます。
  9. なお、正解が続いた場合は、合点を繋げて掛けて行きます。
  10. 下附は、各自の回答欄の下に点と星を縦に並べて書き付します。
  11. 記録上の勝負は、 各自の得失点をグループごとに合算し、合計点の多い方が勝ちとなります。
  12. 勝負は、勝方の見出しの下に「勝」、負方の下に「負」と書き、「得点」と「失点」の合計をそれぞれ示します。
  13. 香記は、勝方の最高得点者のうち、上席の方に授与されます。

 

田面の鏡が青空を映す季節となりました。

ゴールデンウィーク近くになりますと、近隣の田圃に水が張られ、田植えが近いことを知らされます。当地では、農家さんたちが「連休返上」で田植えに勤しむ姿を見慣れていましたが、東海地区に住まいした時も田植えが5月の連休中だったので「おや?」と思ったことがありました。田植えの時期は、桜前線とは違って南から北に順次緯度を上げて行くものではなさそうです。そこで、全国の田植えの時期を調べて見ますと、早くは沖縄・九州の3月から 、遅くは北関東(茨城)の6月と、その差は3ヶ月もありますが、やはりゴールデンウイークを当て込んで田植えをする地域が大多数だということが判りました。東北も普通に考えれば水温の上がる6月頃が最適だったのでしょうが、日照が足りず生育が遅い土地柄では、収穫の頃に台風の被害に遭ってしまうため、品種改良と深水管理によって、連休中の田植えができるようになったようです。

思い出しますと、愛知県の田圃は自然で稲穂の間から草ボウボウ生い立っていましたが、春先のレンゲ畑がとても懐かしく綺麗でした。 一方、東北と同じように美田を誇ったのは三重県でした。やはり、伊勢神宮の御新田から御新米を授かるという意識が高いのでしょう、本当に行き届いた水田でした。熊本県で は折悪しく田植えを目撃しませんでしたが稲刈りが早く、新米の出回る9月には刈穂から葉が伸びて、また花が咲くのではないかという青田に戻っていました。昔ならば、社会科の教科書に書いてあったとおり「二毛作」で 、この後に麦を植えたのだろうと思います。

日本人は、おしなべて稲作農耕民族ですので、歳時記にも農事に関する季語がたくさん出てきます。この時期の季語を田圃の情景を思い出しながら追ってみますと、まず、トラクターで冬の間に固まった田んぼを掘り返して空気を入れる「田起し (田打ち)」から始まり、畦に土を塗って水漏れを防ぐ「畦塗り」を済ませたら、田に水を張って、肥を入れながら土を泥んこにしていく「代掻(しろかき)」をし「代田」を作ります。一方、種籾は「苗代」で育てられ、田植えの際に苗を抜いて束ねる作業が「苗取り」で、水田に入り 、代田に「早苗」を植え付ける作業が「田植え」です。古くから「早苗とる」と詠まれた田植えの代表的な景色は、「育苗箱から直接田植機で植える」現代では拝むことのできない「束ねた苗」の姿だったのです。

そうして 田植えが終わり、細く小さな苗が風にそよいでいる田圃のことは「植田」、苗が生長して、ほとんど水面が見えなくなり「青田」となっていきます。青田は、梅雨には水、盛夏には光の恵みを受けて、葉擦れの音も涼しげに実りの時を待ちます。我がベランダには、金魚の水槽を利用した水田があり、今年は6年ぶりに追肥をし、水を張りました。もう種籾から育てるには時期を逸しましたので、連休中に田圃の畦に置き去りにされた「余り苗」を少しいただいて、夏には涼音を、秋にはささやかな収穫を楽しみに育てたいと思います。

今月は、菖蒲の根の長さで優劣を競う「根合香」(ねあわせこう)をご紹介いたしましょう。

「根合香」は、大枝流芳編の『香道秋農光(上・下)』に掲載のある初夏の組香です。この組香は、下巻に掲載のある「新組十品」の最初の作品で、本文冒頭には「大口含翠組」とあ ることから、彼が創作したオリジナルの組香であることが判ります。また、この組香は、大変豪華な「盤物(ばんもの)」となっており、上巻には ゲーム盤として使う「香盤(こうばん)」や「立物(たてもの)」のほか、飾りに据える「州浜(すはま)」が図示され、下巻に組香の解説が掲載さています。同名の組香は『軒のしのぶ(十)』『香道蘭之園(附録)』にも掲載があり、趣旨は同じですが細部に異なるところもあります。今回は、オリジナルの組香ですので、『香道秋農光』を出典とし、『軒のしのぶ』や『香道蘭之園』を別書として書き進めて参りたいと思います。

まず、この組香には証歌はありませんが、作者の大口含翠が小引の冒頭に「古き物語の集に曰く、永承六年(1051年)五月、内裏にて菖蒲の根合有りけり。(中略)古来、組香に矢数香、闘鶏香あるにならひて、紫、白の菖蒲の根引きの様を立物とし、根合の勝負になぞろふ。」と組香の発意を記述しており、 同年5月5日に京極院内裏で後冷泉天皇が開催した内裏根合を写したものであることが判ります。「根合わせ」とは、歌合わせ・菊合わせ・香合わせ・絵合わせなど自分で持ってきたものを相手のものと「くらべっこ」する「あわせもの」という遊戯の1で、多くは5月5日の「端午の節句」に各々の持ち寄った菖蒲の根の長さを比べて優劣を競うものです。この日は、京都の上賀茂神社で競馬(くらべうま)の神事が行われ、これも「競馬香」として組香に写されていますが、競馬が行われる前には騎手(乗尻:のりじり)が、菖蒲を持ち寄って白い根の長さを競って邪気を払うという「根合神事」も行われています。正月に行われた「小松引き」も根合わせの一種ということができますが、こちらは根の長さによって自らの寿命の長さを占うことが主旨であり、その後に「くらべっこ」をすることは副次的な遊び であったといえるでしょう。平安時代の宮廷社会では、事物の優劣や白黒をつける際に、最も手っ取り早い「根合わせ」を用いたことも多かったようです。

つぎに、この組香の要素名は、「菖蒲」「郭公」「早苗」と「恋」「祝」となっています。「菖蒲」「郭公」「早苗」の3つは季節の要素としてすんなり納得できます。一方、「恋」と「祝」は、一見奇異な取り合わせのように感じますが、これについて出典では「古き物語にいへる和歌の題五首を出香の数となし、飾り物等、其の書の趣をうつし侍る。」と記載があります。

ここで、『内裏根合』で詠まれた10首の和歌をご紹介いたしましょう。(漢字かな交じりに修正しています。)

菖蒲

左 萬代に変わらぬものは五月雨のにかほる菖蒲なりけり(左馬頭経信)⇒(金葉集128)

右 つくま江の底の深さをよそながら引ける菖蒲の根にて知るかな(記載なし)⇒(後拾遺集211 良暹法師)

郭公

左 ほとときすただ一声に過ぎぬればなお待つ人になりぬべきかな(記載なし)⇒(万代集563 前中納言資仲)

右 うたた寝の夢にやあらむほととぎす驚くほどにまたも聞こえず(侍従乳母)⇒(万代集641 六条右大臣)

佐苗(早苗)

左 五月雨の日も暮れぬめり里遠み山田の早苗取りもあえぬに(記載なし)⇒(後拾遺集815 藤原隆資)

右 早乙女の山田の代に降り立ちて急ぐ早苗やむろのはやわせ(記載なし)⇒(夫木和歌抄2542 式部大輔国成卿)

左 あまのはらめぐる月日もさやかにも萬代住める雲の上かな(記載なし)⇒(新続古今集772 権中納言経家)

右 春日山枝挿し添うる松の浜君が千年の数にぞありける(記載なし)⇒(後拾遺集786 中納言資綱)

左 恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ(相模)⇒(後拾遺集815・百人一首65)

右 下萌ゆる嘆きをだにも知らせばや類の神の験ばかりも(中将隆俊)

このように当日は、 三番の根合せてに続いて、「夏題三題・人事二題」で計五番の歌合わせが行われ、その歌題に因んで要素名を5つ配置したことが判ります。和歌集などでも目にするように、歌題であれば「四季の題」に「恋」と「祝」という流れに全く違和感はありません。

ここで、出典には「この組香はあらかじめ連衆を二手に分けて聞く」と明記されていないのですが、「根合香之記」を見ますと、連衆は「東方」と「西方」に別れて一蓮托生対戦型ゲームを繰り広げています。これに倣って、連衆は抽選や衆議によって、あらかじめ「東方」と「西方」に別れておきましょう。このことについて、『軒のしのぶ』では、菖蒲の名所を対峙させ「いかほ方」「あさま方」に別 けています。一方、『香道蘭之園』では、「〇方」「○方」の区別はどこにもなく「又、両方持に成りたる時は…」の記述から、対戦型であることを推察するのみとなっています。

また、この組香は「盤物」ですので、「根合香盤」という専用のゲーム盤を使用します。出典の上巻に書かれている道具は、 双六のコマの役割をする「立物」として、白い菖蒲に各自の名乗を書いた金縁の短冊を下げたもの5本、紫の菖蒲に銀縁の短冊を下げたもの5本、「花立の文台」と言って小さな文台に5つの穴の開いたもの2脚、薬玉10個、「飾り物」として「州浜」(蓬莱山を模したもの)」と「州浜(松に菖蒲)」各1台が図示されています。(州浜については、「岩は沈香、松・鶴・亀は銀、打敷きは青色の波模様の薄物を敷く」などと詳しく述べられています。)

そして、最後に双方5列ずつマス目6間を対面させ、その真ん中に広めの「勝負の場」がある香盤が図示されています。この道具は、東方に蓬莱山の州浜を置き、そこに白菖蒲5本と薬玉を5つ置きます。同じく西方には松に菖蒲の州浜を置き紫菖蒲5本と薬玉を5つ置きます。香盤の勝負の場には、6間目の右奥にそれぞれ文台を置きます。このように、この組香は「東方」と「西方」が対峙し、最初は香盤に立物を立てない状態で香席が始まります。

さて、この組香の香種は5種、全体香数は11包、本香数は6炉となっています。まず、「菖蒲」「郭公」「早苗」を各3包、「恋」と「祝」は1包ずつ作ります。次に「菖蒲」「郭公」「早苗」のうち各1包を試香として焚き出します。試香が焚き終わりましたら、手元に残った「菖蒲」「郭公」「早苗」の各2包と「恋」「祝」の各1包を打ち交ぜて、任意に2包引き去ります。そうしてできた本香6包を「一*柱開」で焚き出します。

この組香は引き去りの所作によって香の出のバリエーションを増やしていますが、引き去りの妙によっては、試香のない「恋」と「祝」が2つとも本香に出る可能性があります。「客香」が同数となれば、あらかじめ小記録に木所でも示されない限り判別がつかないこととなりますが、「根合香之記」の記載例では、「恋」と「祝」を区別せず「ウ」と答えるようになっていますので、「客香」が2つ出た場合は、香りが違っていても「ウ」の札を打つことでよろしいかと思います。

本香を焚き出す際、香元は香炉に添えて、折居(おりすえ)か札筒(ふだづつ)を回します。連衆は本香を試香と聞き合わせて、それと思う香札を1枚打ちます。回答に使用する札については、出典に記載がありませんが、専用の香札は現在では望むべくもありませんので、「一」を「菖蒲」、「二」を「郭公」、「三」を「早苗」、「恋」と「祝」は「ウ」と読み替えて使用することで良いでしょう。香記に記載される各自の名乗(なのり:席中の仮名)については、「札の紋 菖蒲の歌名所を用ゆ」ということで、「安積沼」「伊香保沼」「堀江」「益田池」「長澤池」「玉江」「大淀」「冨緒川」「筑摩江」「名乗池」と列挙されています。

札の紋に関する簡単な解説は次のとおりです。

札の紋 解説
安積沼(あさかのぬま) 福島県中央部の日和田(現:郡山市)にあったといわれる沼[陸奥国歌枕]
伊香保沼(いかほのぬま) 群馬県中部、榛名湖の古称[上野国歌枕]
堀江(ほりえ) 大阪市西区北堀付近。『日本書紀』に見える古代難波の人工河川[摂津国歌枕]
益田池(ますだのいけ) 奈良県橿原市西池尻町の辺りの低地にあった池[大和国歌枕]
長澤池(ながさわのいけ) 不明 『歌枕名寄』にも掲載なし。【参考】「ながさはの池のあやめをつくづくとおもへば末ぞ遥けかりける(後鳥羽天皇大嘗会和歌)」
玉江(たまえ) 福井市花堂町辺りにあった葦原。[越前国歌枕]
大淀(おおよど) 三重県明和町大淀(おいず)の古名。[伊勢国歌枕]
冨緒川(とみのをがわ) 奈良県の生駒山から流れ斑鳩町の東南端で大和川に合流する川[大和国歌枕]
筑摩江(ちくまえ) 滋賀県米原町にある琵琶湖第二の内湖[近江国歌枕]
名乗池(なのりのいけ) 不明 『歌枕名寄』にも掲載なし。【参考】「ほととぎす今ぞ五月と音をたててなのりの池はあやめ引くなり(百首歌合929)」

これらの名所を見ますと、東西入り乱れており数もまちまちですので「東方だから東の名所の名乗を使う」という配慮はないようです。そこで、私も「根合香盤立物之図」では、東方に「安積沼」「伊香保沼」「堀江」「益田池」「長澤池」、西方に「玉江」「大淀」「冨緒川」「筑摩江」「名乗池」と順次名乗を割り付けています。

因みに、『軒のしのぶ』に書かれた「いかほ方」は「伊香保沼」、「あさか方」は「安積沼」と菖蒲の名所に因んで据えたもの だということが判ります。また、『香道蘭之園(復刻版)』では「冨緒川」が「冨誌川(ふじがわ⇒富士川?)」と記載され、駿河の歌枕とされています。

そうして、本香1炉が焚き出され、香炉と香札が返ってまいりましたら、執筆は札を開き、全員の答えを書き写します。書き写したところで香元に正解を請い、香元は香包を開いて正解を宣言します。執筆はこれを聞き、答えの右肩に当否を示す点星を掛けます。この組香の点法は出典に「当たらざるは星一つ記すべし。独誤りたるは星二つ付べし。当りは客は二点、独客は三点、独聞は二点、常の聞一点なるべし。」とあり、客香の当たりは2点、客香の独聞は3点、地の香の独聞にも2点の加点要素があり、その他は要素の当たりにつき1点となっています。一方、聞き外しについては、客香・地の香の区別はなくマイナス1点、独 りで聞き違えるとマイナス2点となる減点要素となっています。これを受けて、盤者は各自の得失点分だけ菖蒲の立物を進退させます。1炉目で1点ならば香盤の1 升目に菖蒲を立てます。2点ならば2升目に立てます。マイナス1点の方は、勝負を州浜に置いたまま2点取るまで盤には立ないことになります。このように、本香を6回繰り返し、先に6升目を出て「花立の文台」に至った方が盤上の勝負を制します。そして、文台に立てられた菖蒲は薬玉を掛けて飾られます。客香や独聞の出方にもよりますが、通常であれば7点で文台に至るので、6炉廻る間に複数の方が文台に飾られることもあります。盤上の勝者が決まっても、本香は残らず焚き続け「記録上の勝負」に移ります。

各回の当否が決まったところで、執筆は各自の答えの右肩に先ほどの点法に見合った「点」や「星」を掛けます。そのうち「点」については、出典に「聞つづく所は点をつづくべし。勝負の根長きは勝とする意をうつす。」とあり、連続して当たった場合は、合点の尾を長く引き、次の合点とつないで長い根っこのように見せると書かれています。このビジュアルな趣向(香記のイメージ)この組香の最大の特徴となっています。一方、「星」については、1つ「」、2つ「●●と並べて打つのみです。

ここで、出典には「もし、両方持(もち:引き分け)に成りたる時は、取り除き置きたる二包を焼き、勝負を決すべし。」とあり、得失点合計が同点で「引き分け」になったときは、先ほど引き去っておいた香包を打ち交ぜて、 「追加の二*柱」を焚き出して決着をつけることとなっています。

最後に、この組香の下附は、各自の点星を数えて「〇点〇星」と縦に続けて書き記します。記録上の勝負は、各自の点と星をグループごとに集計して、それぞれ「東方」「西方」の見出しの下に「点〇 星〇」と記載し、これを消しあって合計得点の多い方が勝方となり、見出しの下に「勝」と書き記されます。また、この組香では「負」も負方の見出しの下に明示します。こうして、記録上の勝負を決し、香記は勝方の最高得点者のうち、上席の方にと授与されます。

広い池のある庭をお持ちの方は、客人と「菖蒲を引き抜いて勝負する」などというダジャレめいた遊びも無為にできるのでしょうが、庶民は公園の池の菖蒲を引き抜くわけにも参りません。皆様もぜひ「根合香」で内裏の遊芸に興じてみてはいかがでしょうか。

 

唱歌「夏は来ぬ」の作詞者である佐佐木信綱氏は歌人であったこともあり

「夏〜は来ぬぅ〜♪」の前に来る歌詞は三十一文字の和歌となっています。

情景がストレートに伝わって来るなかなかの秀歌だと思います。

早乙女の植え残せしや捨て苗の白き長根ぞくねりて妖し(921詠)

組香の解釈は、香席の景色を見渡すための一助に過ぎません。

最も尊重されるものは、皆さん自身が自由に思い浮かべる「心の風景」です。

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