三月の組香

風光明媚な山々の景色を較べる組香です。

四季の散策の楽しさを思いう陰ながら聞きましょう。。

 ※ このコラムではフォントがないため「」を「*柱」と表記しています。

説明

  1. 香木は、3種用意します。

  2. 要素名は、「花(はな)」「月(つき)」と「客」です。

  3. 香名と木所は、景色のために書きましたので、季節や組香の趣旨に因んだものを自由に組んでください。

  4. 「花」「月」は各5包、「客」は2包作ります。

  5. 「花」「月」のうち1包ずつを試香として焚き出します。

  6. 手元に残った「花」「月」の各4包に「 」 2包を加えて下記の通り、2包ずつ5組結び合わせます。(2×5=10)

「花・花」「月・月」「花・月」「月・花」「客・客」

  1. 本香は、「二*柱開(にちゅうびらき)」で10炉焚き出します。

※ 「二*柱開」とは、2炉ごとに正解を宣言し、答えの当否を決めるやり方です。

−以降8番から12番までを5回繰り返します。−

  1. 香元は、2炉ごとに香炉に続いて「札筒(ふだづつ)」または「折居(おりすえ)」を廻します。

  2. 連衆は、2炉ごとに試香に聞き合わせて、聞の名目の書かれた「香札(こうふだ)」を1枚投票します。

  3. 執筆は、全員の答えを香記に書き写します。

  4. 香元が、正解を宣言します。

  5. 執筆は、2つの要素名から正解の名目を定めて、当たった答えに合点を掛けます。

  6. 点数は、「雲の晴間」の当たりは2点、その他は1点と換算します。

  7. 下附は、全問正解には「高根」、「雲の晴間」の聞き外しには「麓」と書き附し 、その他は何も書き附しません。

  8. 勝負は、最高得点者のうち上席の方の勝ちとなります。
     

  •  マスクに慣れたおかげで花粉症の季節に散策が楽しめるようになりました

    花粉症の時期を迎えてドラッグストアでよく目に付くようになったのが、保湿系ティッシュの「贅沢」の文字です。横に目をやれば、マスクや目薬、菓子類までも「贅沢」「プレミアム」「セレブ」のオンパレード・・・最近は、これが商品差別化のキャッチフレーズになっているようです。価格を見れば普通品との価格差は3割増〜2倍程度で、いずれ100円単位の違いですから、「ささやかな贅沢」と言えましょう。内実を見れば「高機能」「高配合」「素材志向」の言い換えのようです。昔であれば、1ランク上の商品は、「高級」という言葉で一括りできたのですが、今では「価格感」がギラつくためにあまり使用されず、その代わりに心の「満足感」を上手い具合に刺激しつつ、少しホッとする「贅沢」がトレンドワードとなったようです。日本人は皆、世界水準から見て「かなり贅沢な生活」をしていますが、文字面の「贅沢」がこれほど気をそそるのは、「なにかしらものたりない。。。」という人々の心の隙を突かれているのかもしれません。

    本来「贅沢」とは、「普通以上に金銭等を費して物ごとを行なうことや必要以上のことをあれこれと望むこと。」という意味ですから、「お値段以上」を目指して当たり前に暮らす庶民には関係のない概念でした。ただ、この「普通と必要」という水準は時代とともに浮き沈みするので、「贅沢」にも色々な様態があったのだと思います。

    「贅沢は敵だ!」は、大日本帝国が戦時中に行った国民精神総動員政策の標語の中では最も有名です。この頃は、物質的にも精神的にも「普通と必要」は最低レベルにあり、卵を食べることや音楽を聴くことも「贅沢」として排斥されました。一方、戦後の日本は、次第に物資の「充足」が進み、家電の普及で「便利」を享受できるようになりました。そうしてできた余暇は「趣味」「娯楽」という新しい消費性向に向かうこととなりますが、それでも日本人は、経済の成長とともに向上していく「普通と必要」の枠を大きく逸しない程度の水準を守り、先行きに「夢」を持って生きていました。

    そうした高度成長の先に迎えた198011月、私は、雑誌『ブルータス(Brutus)』の表紙に「贅沢は敵だ!」の文字が燦然と光っていたのを鮮烈に思い出します。この雑誌は、既にバブル前夜で「普通と必要」に満ち足りてしまっていた日本人に、高級な時計・食事・服・嗜好品・ホテルのインペリアルルームの楽しみ方など、当時の庶民では考えもつかなかった「1ランク上の物欲で実現する贅沢」という方向性を示しました。「贅沢は素敵だ!」というスローガンは、もともと戦時中に「贅沢は敵だ!」のポスターに書かれた反骨精神あふれる落書きが起源と言われていますが、時を隔てて人々の眼前に再現したこの言葉は、当時の若者に脳裏に刷り込まれ、198612月から始まったとされる「バブル期」の間に萌芽、蔓延、爛熟して行きました。そして、バブル崩壊後の19936月に『ブルータス』は、またも「やっぱり贅沢は素敵だ!!」と表紙に掲げました。ただし、この頃は「失われた20年」の序章ですから、「ワールドワイドな不景気風吹く今こそ、分を超えよ!想像力を濫費せよ!」とのスローガンのもと、「時代に反乱する〈スタイル〉の贅沢」「価値を紊乱する〈役立たず〉の贅沢」「時の流れを撹乱する〈時間〉の贅沢」と、所謂「価格価値」とは別次元での精神的で個人的な満足の享受を提言していました。その中に「非日常が打ち震える時、贅沢が生まれる」という対談記事があり、この表題が私にとっての「贅沢」の定義となっています。

    最近、私が「贅沢」だったのは、昨年11月の「令和の名香合」でした。香木そのものの価値は、既に「Priceless!!」であるため捨象たとしても、香筵に流れる豊かな時間と右脳に浮かぶ景色の変遷は、まさに日常性を超えて魂が打ち震えるものでした。私は貧乏性なので、物質的には「贅沢保湿ティッシュ」を買うこともためらう水準なのですが、精神的な「贅沢」の閾値は上がり気味で、なかなか非日常性を感じられることは少なくなりました。金と暇だけでは「清貧」を蹴飛ばせずにいる私が、今度「贅沢」に巡り会えるのはいつ頃でしょうか?

     今月は、風光明媚な名山から自然の美を見晴るかす「花月名所香」(かげつめいしょこう)をご紹介いたしましょう。

    「花月名所香」は、叢谷舎維篤(撰)『軒のしのぶ(八)』に掲載のある四季に通ずる組香です。今月は、花見の風景が見える組香をご紹介しようと探していましたところ、「花」「月」の景色がある「名所香」に尋ね当りました。私は、「花の宴」の「朧月夜」の情景を勝手に思い出しましたので、今回は、当季の組香としてご紹介したいと思います。同名の組香は、大同樓維休(著)の米川流香道『奥の橘()や伊与田勝由(編)『御家流組香集(智)』各流派の組香書に掲載されていますが、その内容は、下附の方法以外ほとんど変わりません。私は当初、(著)である『奥の橘』がオリジナルで、それが後世になって各流の組香に(撰)(編)として掲載されたものかと思っていましたが、『奥の橘』には、文末に「他流」での聞き方が紹介されているので、一概に米川流が発祥ということでもないことがわかりました。いずれ、私の蔵書の中では、どれも同じ聞き方をするので、最も 読みやすく、書写年代も若いと思われる『軒のしのぶ(八)』を出典としてご紹介することといたします。

    まず、この組香には、証歌はありませんが、題号が「花月名所香」となっており、「札の紋」として主に近畿地方の歌枕となっている「山」の名前が列挙されています。春ならば「花見」は欠かせませんが、「花月」とは本来「自然の景物」という意味ですから、なにも「花見」や「月見」に限るものではありません。自然の景色を見て季節を知る風雅の心が「花月」なのだと思います。この組香は、景観豊かな名所として名を連ねた山々から見える自然の美しさを組香で競わせることが趣旨となっています。

    なお、この組香は、昨年3月にご紹介した「山路香」と構造も解釈も酷似しています。特に「別書」としてご紹介した『香道蘭之園(四)』では、要素名が「霞」「霧」「ウ」の二*柱開でしたから、「霞」を「花」、「霧」を「月」と書き換えると驚くほど似ていることがわかります。ただ、「山路香」 の景色が春秋「二季の散策」だったのに対して、「花月名所香」の景色は「四季の登山」となり、要素名が変わることによって景色のスケールも大きくなった気がしますので参照してみてください。

    ここで、この組香を当季の「花の宴」の景色を写した組香として扱うとすれば、貞治5年(1366年)に佐々木道誉が主催した「大原野の花見」が「香と花見」を結ぶ有名なエピソードとして思い浮か べておくと良いと思います。道誉は、政敵である斯波高経主催の宴会に、さも出席するような素振りを見せておいて、密かに大原野の天台宗「勝持寺」での花見の宴の準備を進めて、圧倒的な豪華さで高経のお客を宴会当日に掻っ攫うという「豪奢の戦い」を演じました。

    『太平記』巻三十九

    本堂の庭に十囲の花木四本あり

    此の下に一丈余りの鍮石の花瓶を鋳懸けて一双の華に作り成し

    其の交に両囲の香炉を両の机に並べて一斤の名香を一度に焚き上げたれば

    香風四方に散じて人皆浮香世界の中に在るが如し

    このように道誉は、「境内の桜の大木に真鍮の輪を花瓶のように置いて、これを立花と見立て、大きな香炉に一斤 (600)もある名香を一気に焚き上げたところ、薫風は遠くまで飛散して、都の人々は芳香の漂う香積如来(こうしゃくにょらい)の浄土にいるような気持ちになった。」ということです。権力と金力を誇り「婆娑羅大名」と言われた道誉の圧倒的に「贅沢」な花の宴は、現在も香人たち羨望(せんぼう)と顰蹙(ひんしゅく)の的となっています。このような景色を思い浮かべるのもようでいしょう。

    次に、この組香の要素名は「花」「月」と「客」となっています。「花」「月」ともに主役で、当季であれば「桜」と「朧月」から夜桜の景色が浮かんできます。 「花月」とは「自然の美」と申しましたが、その概念が「花」と「月」とに分かれれば、それぞれを具象的な景物として取り扱っても良いと思います。他の季節ならば、それぞれにふさわしい「花」に「月」をあしらって景色を構成するのも亭主の楽しみかと思います。そして、「客」は、他の要素とは交わらずに「雲の晴間」という景色を結ぶ要素です。これは、登山の成否を左右する「天気」という背景を司るのではないかと思います。

    さて、この組香の香種は3種、全体香数は12包、本香数は10炉となっており、構造は「山路香」と全く同じです。まず、「花」と「月」は5包ずつ作り、「客」は2包作ります。次に「花」と「月」の各1包を試香として焚き出します。すると手元には「花(4包)」「月(4包)」と「客(2包)」が残ります。ここで出典では、「試香二包出し、本香十包なり。初後を付けて*柱ずつ五結なり」「花花は花、月月は月、花月は順嵐、月花は逆嵐、客客とは雲晴間」とあり、@花・花、A月・月、B花・月、C月・花、D客・客とあらかじめ指定された組合せで10包の香を2包ずつ5組に結び置きすることが記載されています。そうして本香は、この5組を組ごとに打ち交ぜて「二*柱開」で都合10炉を焚き出します。

    続いて、香元は、1組目の結びを解きます。出典には、「初後を付けて」とありますので、結びを解いたら打ち交ぜず、包の順番を変えないように注意して初炉(1炉目)と後炉(2炉目)を焚き出し、後炉には札筒か折居を添えて廻します。

    この組香の回答は「二*柱開きの札打ち」となっており、専用の香札が用意されて います。本香が焚き出されましたら、連衆は試香と聞き合せて、2炉ごとにこれと思う香札を1枚打ちます。札表は、答えとなる「花」「月」が各4枚、「客」が2枚の1人前10枚が用意されています。また、札裏には、名乗(なのり :各自の席上の仮名)が記載されており、出典には「札の紋」として下記のような山の名が列挙されています。

    札の紋

    札の紋

    説 明

    春日山

    (かすがやま)

    奈良市の市街地東部にある標高 497mの山で、別名「花山」とも言われ、春日大社の神域となっています。[歌枕]

    袖振山

    (そでふるやま)

    奈良県中部、吉野山の西側にある山で、天武天皇が琴を奏して「少女ども少女さびすと唐玉を袂に纏きて少女さびすも」と歌うと、雲中に天女が現れて舞を舞い、五度袖をひるがえしたという「五節(ごせち)の舞」の起源となっています。[歌枕]

    三輪山

    (みわやま)

    奈良県北部、桜井市にある標高467mの山で、大神神社(おおみわじんじゃ)の御神体となっています。[歌枕]

    葛城山

    (かつらぎさん)

    大阪府の南東、奈良県との境界にある金剛山地の主峰の一つで、標高 959mの大阪府最高峰です。躑躅の名所となっています。 [歌枕]

    高間山

    (たかまやま)

    奈良県中西部、大阪府との境にある標高1125mの山で、金剛山地の主峰です。「高天山(たかまのやま)」として[歌枕]

    信楽山

    (しがらきやま)

    滋賀県甲賀市と京都府との境にある山地で、標高738.8mの笹ヶ岳が最高峰です。 聖武天皇の紫香楽宮が造営された「信楽の里」は歌枕が多く、「滋賀楽山(しがらきのやま)」もその一角を占めています。[歌枕]

    三笠山

    (みかさやま)

    奈良県奈良市街東部にある標高297mの山で「御蓋山」とも書きます。春日大社の境内にあり、本宮神社が祀られています。 [歌枕]

    浅間山

    (あさまやま)

    長野・群馬県境にある標高2,568mの山で、古来、噴火を繰り返してきた日本の代表的活火山です。[歌枕]

    伊吹山

    (いぶきやま)

    滋賀県米原市と岐阜県揖斐郡揖斐川町との境界にある標高1377mの山です。[歌枕]

    暗部山

    (くらぶやま)

    京都市左京区にある標高 570mの「鞍馬山」の古名です。春は桜、秋は紅葉の名所となっています。[歌枕]

    このように、富士山との煙競べで有名な「浅間山」以外は、近畿地方の名山が配置されています。特に「花」「月」の名所として名を馳せた形跡は少ないものの、歌枕としては「三笠の山にいでしつきかも」のような名歌がたくさん見つかりました。これらの山々は都人が四季折々に思いを馳せた「外山」であったことは間違いなく、実景か想像かを問わず、そこから見える景色がこの組香を彩っていると言えましょう。

    因みに、「山路香」の札紋は、三笠山(みかさやま)、三輪山(みわやま)、音羽山(おとわやま)、小野山(おのやま)、砺波山(となみやま)、姥捨山(うばすてやま)、鈴鹿山(すずかやま)、立田山(たつたやま)、横田山(よこたやま)、小夜山(さよやま) と「それほど高くない散策できる山」が配置されており、全てが歌枕ではありません。

    そして、答えとなる「聞の名目」は下記の通り配置されています。

    香の出と聞の名目

    香の出

    聞の名目

    花・花

    月・月

    花・月

    順嵐(じゅんあらし)

    月・花

    逆嵐(ぎゃくあらし)

    客・客

    雲の晴間

    「花」と「月」については誰しも異存の無いところでしょうが、ここで迷ってしまったのが「順嵐」、「逆嵐」という国語辞典にない言葉です。春の時期であれば 、桜の花盛に「花嵐」という強い風が吹きますので、この風で桜の花が右往左往し、散り乱れる様子を表しているのかもしれません。また、時の流れで見ると「朝嵐」「夕嵐」と いう言葉もありますので、「花」を「朝」、「月」を「夕」と見立てて、風向きの違いから「順」「逆」の文字を当てはめたのかもしれません。いずれ、「嵐」という字には「山の風」という意味もありますので、山で吹く「順風」「逆風」が、即ち「順嵐」「逆嵐」の表記となったのではないかと 推測しています。そして、「雲の晴間」は、山に登る際の天気で、これに恵まれれば 、山上から良い景色を見晴るかすことができます。

    この組香は「二*柱開」ですので、 1組目の香札が返って参りましたら、執筆はこれを開き、各自の答えを回答欄にすべて書き写します。執筆が正解を請う仕草をしましたら、香元はこれを受け、香包を開いて正解を宣言します。執筆はこれを聞き、香の出の欄に2つの要素名を左右に並記し、正解の名目を定めて、当たった名目に合点を掛けます。なお、出典の「花月名所香之記」の記載例では、「雲の晴間(客・客)」の当りに2点が掛けられていますので、客香の当りには加点要素があるということでしょう。 そうして、これを5回繰り返します。

    因みに、回答欄について『御家流組香書』には「記録当りばかり記す。」とあり、『奥の橘』にも「記録、二*柱開当りばかり書くなり。」と「二*柱開」の本則のとおり、当った名目のみを記載し、合点が付されていない香記が示されています。この点、出典のみ 「すべて香記に書き写し」 「合点あり」で取り扱いが異なりますが、こちらの方が現代的で分かり易いかもしれません。

    このようにして、本香が焚き終わりましたら、香記はあらかた仕上がっていますので、執筆は各自の成績を下附で示します。これについて、出典では「皆の下に高根と書く。雲晴間を聞違いには麓と書く。雲晴間当り 、外聞違いたるにはかくことなし」とあり、全問正解(6点)には「高根」、「雲の晴間」を聞き違えば「麓」と書き、それ以外は何も下附しないことが書かれています。 これについては、出典によって取り扱いが違うのですが、山に登ってすべての景色を見晴るかしたものは「高根」とし、「雲の晴間」がなくて山に登りきれず、景色に雲がかかっていたものを「麓」と下附するのが妥当かと思い、出典の下附を採用することとしました。

    因みに、『奥の橘』には「客香中れば下に高根と書く、客香あたらねば麓と下へかくべし」とあり、「雲の晴間」の当否のみで下附が変わることとなっています。一方、『御家流組香書』では、「雲の晴間を外し、花月順逆の嵐ばかり中るには麓と記す。花月ばかりも順逆の嵐ばかりも麓なり。雲の晴間、順逆の嵐を聞きたるに高根と記す」とあり、「順嵐」と「逆嵐」の聞き当てのみでは「麓」となり、「雲の晴間」に加えて「順嵐」と「逆嵐」の聞き当てなければ「高根」と下附できないこととなっています。

    最後に勝負は、最高得点者のうち上席の方の勝ちとなります。

     野に山に誘われる季節は、心の赴くままに外に出て「光」と「風」に身を任せた方が免疫レベルも上がると思います。皆さんも「花月名所香」と「春の行楽」で心の贅沢を味わってみてはいかがでしょうか。

     

    「贅沢」の地平線の先には・・・「オーガニック」「エコ」「フェアトレード」があるでしょうか?

    買うべき情報に商品が付いてくる「豊かな時代」なのですね。

    薄紅の舞い降りてけるひとひらに清らを尽くす宴ぞあらなむ(921詠)

    組香の解釈は、香席の景色を見渡すための一助に過ぎません。

    最も尊重されるものは、皆さん自身が自由に思い浮かべる「心の風景」です。

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