十月の組香

 

季節ごとの月夜の景色を味わう組香です。

遊び方は簡単ですが、「四季の月を香気で表す」ことが大切です。

香組をする人と連衆との感性が一致したときは、すばらしい香席となるでしょう。

 

説明

  1. 香木は4種用意します。

  2. 香名と木所は、景色のために書きましたので、季節感のあるものを自由に組んでください。

  3. 「朧夜の月」「短夜の月」「雪夜の月」は、それぞれ2包作り、そのうち1包ずつを試香として焚きます。

  4. 本香は、「朧夜の月」「短夜の月」「雪夜の月」を各1包、「名月」1包を打ち交ぜて4炉焚きます。

  5. 答えは、出た順に要素名で書きます。

  6. 答えの当たり方のパターンによって下附が変わります。

  7. 「皆」とは、パーフェクトのことです。「全不中」はその逆です。

  8. 「中」とは、当たりのことです。下附のパターンに無いものは、点数で表示します。

 

 旧暦8月15日の名月は、皆既月食と台風が重なり、一部地域でしか「お月見」楽しむことができませんでした。さて、旧暦9月16日にあたる今月の月は、どんな顔を見せるのでしょうか?期待したいものです。

 秋になり、次第に冴え冴えと輝きを増す群星を従えた月は、悲しくとも、面白くとも、見る人の心に背かない美しさです。今回の組香は、そういった「名月」の美しさを「月ごとの月」から探し出すものです。

 証歌の意味は「毎月毎月見ている月なのに、今月今宵の月は何とすばらしいのだろう。こんないい月は、一年中でもなかなか見られないなぁ。実にいい月だ。」と直接この組香のあるべき姿を概念付けています。

 簡単な構造式ですから、招かれた客はホッと気が抜けますが、「月ごとの月」にふさわしい香りを選んで香組をし、それを香席で連衆に納得させなければならない点で、もてなす側に は、むしろ重圧感のかかる組香です。

 四季のイメージとしては、「朧夜」には妖艶な香り、「短夜」には涼味のある香り、 「雪夜」には厳粛な香りがいいでしょう。「名月」にはどの月にも負けない華やかな完成された香りを使いましょう。

 「いざよい」(十六夜)の月とは、陰暦一六日の月のことです。ここでは、中秋の名月よりも1日遅く、ためらうようにして出てくる姿を表して「名月 と月一個」の当たりにはこの下附を用います。

 「有明けの空」とは、月がまだありながら、夜が明けてくるの空ということですから、美しい時期を過ぎてしまったとか、月が見えにくいという意味で全部はずれた場合に下附として用います。