十種香暗部山(じゅっしゅこうくらぶやま)
空華庵忍鎧 享保十四年(1729) 写本 1冊
表紙
「弌*柱煙中得意、九衢塵裏偸閑、『十種香暗部山』」
一*柱の煙中に意(こころ)を得、九衢(きゅうく)の塵裏(じんり)に閑(ひま)を偸(ぬす)む。
※ 衢は「ちまた」の意
洛下 半華空蔵版
暗部山叙
解読中
《まえがき》(本書には項立てがないため便宜的に項目を立てています。)
「のどやかなる夕つかた、わらはを召いでて千栽の花を折らせて、こぼるる露などをめでし折から、洛下の隠叟淡々『暗部山』と号(なづ)けたる一帖を携え来て「空華庵」の僧恵南と云う人まね、草庵に籠居(し)て・・・
・・・ただ、この僧の書けることばの端に此の物語を以って筆にとめしも、世の人の笑いをもとむるわざならむ。」
龍作菅 在判(総長)
凡例
一 香をもてあそぶに組香と名付けるもの、その品わかれて多種あれども、いにしえより今に絶えずおこなわるるは十種なり。・・・(下略)
一 十種の外に外組という香すくなからず・・・(下略)
一 十種の内に勝れたるは十種なり・・・(下略)
一 香本(こうもと)という事いにしへより火本と云いて近世有るに及ぶ・・・(下略)
一 香書にきくという字を鼻にきくは耳にに聞くに異なるなり・・・(下略)
一 香の作法ははじめの十種にたいがいをしるし 十種以下の香には略せり・・・(下略)
一 香會奥行き香席宝もの用意諸道具のこしらえ様・・・(下略)
一 香道具 所々盤 人形 馬 花紅葉 矢麾(ざい) 源氏香の図等は十種の要具なれば後附に図益して初心のたよりとす・・・(下略)
一 香道に古法の制あらかじめ知らすはあるべからずその筵に入る人此の趣を守るべし
一 その身衣装に薫(たきもの)し又は革の衣類を着し出座すること。
一 三息五息のほか永聞(えいぎん)し又香爐を取り戻し聞くこと並びに入れたる符(ふだ)を取りかゆる事
一 他人とささやき打ちあわせして符入れる事
一 香一組おわらざるに烟草(たばこ)茶並びに菓子杯含する事
一 香の半ばに座を立ち用事ととのうる事
一 戸障子のたてあけ言語起居いずれもずいぶんしずかにいたし心得べき事
「右の条々堅く打たしなむべき考なり此のほか道に用い定むの事餘毎有れば別記に譲りて略し早惣」
《十種香》
十種香 第一
宇治山香 第二
小鳥香 第三
小草香 第四
競馬香 第五
矢数香 第六
名所香 第七
花月香 第八
源氏香 第九
連理香 第十
※ 用字の差異については、原点に基づい記載しています。
※ このコラムではフォントがないため「」を「柱」と表記しています。